ネイサン・ヒル博士(ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院准教授)

チベット言語の著名な研究者による5種の言語が混在した学術論文を、言語学に精通した翻訳者チームの連携作業により高度な仕上がりに

案件概要
  • サービス名 : 日英・中英翻訳
  • 媒体名: チベット諸語における証拠性の体系に関する論文
  • 分野: 人文学
  • 文字数: 78,495 文字
  • 翻訳レベル: レベル3
論文翻訳, 日英翻訳, 翻訳会社

本案件の課題専門知識と高い言語能力を持つ翻訳チームの編成と徹底した品質チェック

ビルマ文字とチベット文字の専門知識を持つ翻訳者の確保

ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院准教授のネイサン・ヒル博士 (Dr. Nathan W. Hill) は、チベット語社会言語学およびチベット文化研究において国際的に著名な研究者です。ヒル博士は、ユレイタスが過去に英訳を手がけた論文の質の高さを見て、日本語論文と中国語論文の英訳を依頼されました。その論文は、出版を計画している研究書において重要な意味を持っており、日本語・中国語・ビルマ語・チベット語、そして国際音声記号という多様な言語が含まれていました。ヒル博士からいただいた翻訳者の条件は、言語学・国際音声記号に詳しく、日本語・中国語の翻訳経験を有し、ビルマ文字とチベット文字について知識のある翻訳者、という大変難しいものでした。ユレイタスは、言語学において高い知識と能力を持つ翻訳者の確保が必要でした。

翻訳支援ツールを使用せず、誤訳やミスを防ぐチェック体制の構築

ヒル博士は、翻訳にあたり国際音声記号およびビルマ文字・チベット文字が訳文中でも原文同様に配置されていることをご希望されていました。しかし論文原稿はスキャンされたPDFファイルであり、テキストの編集や文字を元ファイルからコピーして貼り付けることはできませんでした。また、迅速でより正確な翻訳を可能にする翻訳支援ツールの使用は困難となり、訳されていない箇所の発生や誤訳をどう防ぐかが課題でした。

翻訳ユレイタスの成果高度な知識と能力を持つ翻訳者を採用、翻訳過程の各段階で品質を管理

チベット語とビルマ語の知識豊富な翻訳者を採用

多様な言語が混在する論文の翻訳者を探すのにあたり、英語および日本語・中国語に通じており、ビルマ語とチベット語の基礎的知識を有するベテラン数名を厳選しました。翻訳者たちは、複雑な原稿を理解した上で、様々な記号・文字を含む原文を的確に翻訳していきました。

原稿をMSワードで打ち込み、訳抜けやミスをチェック

プロジェクトマネジメントチームは、日本語・中国語から英語に翻訳する前に、国際音声記号とその他の文字を含め原稿全体をMSワード形式で打ち込みました。そして元のPDF原稿とMSワードファイルの両方を見比べ、翻訳された原稿を確認し、訳抜けやモレを徹底的にチェックしました。手間と時間をかけても丁寧にチェックすることで、完成度の高い原稿へと仕上がりました。

社内のチェッカーによる品質チェックで完成度UP

翻訳者たちから翻訳された原稿が上がり次第、社内の専門家が訳文すべてを確認し、その結果をすぐに翻訳者たちと共有してブラッシュアップする体制を構築しました。何重ものチェックを重ねることでミスがなくなり、英語ネイティブのチェックにより表現もより自然なものへと洗練されました。ヒル博士は仕上がりに非常に満足され、翻訳された論文は書籍化に向けて出版社と話が進んでいます。

 

ご利用後のご感想

言語学者である私が翻訳したとしても、これ以上の質は望めないと感じています。

翻訳ユレイタス

先生は、チベット文学、さらにチベット・ビルマ語派とシナ・チベット語族の歴史言語学についても豊かな研究・教育経験をお持ちであり、ご著書ならびに多くの論文を発表しておられます。また、ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院、大英博物館、大英図書館が主催する国際共同研究「境界を越えて: 宗教・地域・言語・国家」(http://asiabeyondboundaries.org/) の中心となって研究を進められています。今回ユレイタスが翻訳させていただいた案件の背景をお聞かせくださいますか?

ヒル博士

私の研究において、チベット諸語における証拠性の体系に関する本があれば役に立つだろうと考えていました。それには、何本かの日本語論文を英訳する必要がありました。はじめは自分で翻訳しようと思っていたのですが、日本での生活を終えてからすでに数年が経っており、時間と効率を考えて翻訳会社への依頼へと踏み切りました。ユレイタスについては、知人が書いた日本語論文の英訳を読んだことがあり、その品質の高さに感心しておりました。私の場合もきっと完成度高く仕上げてくれると感じ、ユレイタスに問い合わせたのです。

翻訳ユレイタス

ありがとうございます。それ以外に、翻訳ユレイタスを選ばれた理由はありますか?

ヒル博士

他の翻訳会社二社にも連絡し見積もりを依頼したところ、一社からは内容が専門的すぎるとのことで断られました。もう一社からは、日本語は翻訳できるが、文中の国際音声記号とビルマ文字・チベット文字は「□」記号になるという返事がありました。これでは私が翻訳後に追加で作業をしなければなりません。翻訳ユレイタスからは、国際音声記号やビルマ文字・チベット文字を含む訳文にできるとの返事をいただきました。翻訳料金も予算内で翻訳の水準にも期待できたため、翻訳ユレイタスを選ぶのはごく自然なことでした。

翻訳ユレイタス

先生は、フランス語・ドイツ語・日本語・モンゴル語・チベット語がおできになり、以前は翻訳もされていたとのことで、他社による翻訳に対する目はやはり厳しくなるかと思います。翻訳ユレイタスでのご経験はいかがでしたか?

ヒル博士

大満足で、ぜひまた翻訳をお願いしたいと思っています。見積もりの過程で、こちらが翻訳会社を比較検討していた際には、非常に柔軟に要望に応えていただきました。仕上がってきた翻訳の質は高く、正直私が翻訳してもこれ以上は望めません。私は日本語ができますし言語学者でもありますが、その私が翻訳したとしてもこれ以上の質は望めないと感じています。

翻訳ユレイタス

大変光栄なお言葉、ありがとうございます。今回翻訳した原稿の今後の計画についてお教えください。

ヒル博士

現在は、原稿全体を用意しつつある段階です。ユレイタスが日本語・中国語から翻訳した論文については、原論文の出版元の許可を得る必要があります。また、新しく執筆された多くの論文については、現在査読中です。以上を済ませてから、全論文を出版社に送ります。2016年の春には原稿を完成させ、2017年の春までには書籍として出版できればと思っています。翻訳を高品質で仕上げられたのは重要な一歩で、書籍化に向けて大幅に時間と労力を短縮できました。ユレイタスの翻訳は、評価に値するもので、ぜひ脚注に謝辞を入れたいと考えています。

プロジェクトマネージャーのコメントこの案件を成功させる鍵となったのは、正しい方針に基づいた専門的なプロジェクトマネジメントです。“すべての国際音声記号とビルマ文字・チベット文字が訳文内に正しく配置されるように全原稿を英訳する”というお客様のご希望に応えるためには、能力の高い翻訳者との綿密な連携が必要でした。プロジェクトチームにより国際音声記号と文字を起こすことで、お客様への負担を減らし、満足していただけました。ヒル博士はこの分野では著名な研究者であり、日本語・中国語の原論文もご自身で読まれています。そのヒル博士にご満足いただける翻訳を提供できたこと、また学術的に意義の高い著書の出版に貢献できたことを誇りに思います。

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